ユニセフは古着の寄付は受け付けていない

「寄付をしたい」と考えたとき、ユニセフ(日本ユニセフ協会)を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
ユニセフでは、古着(衣類)に限らず、物資による寄付を受け付けていません。そのため、誤って送付しないように注意が必要です。
ただし、「外国コイン・外国紙幣」に限り、郵送または宅配便での送付が可能です。海外旅行や出張で使い残して引き出しにしまったままの外国コイン・外国紙幣がある場合は、寄付してもいいかもしれません。
外国コイン募金は、郵送や宅配便での送付のほか、募金箱(空港、三井住友銀行、JTBグループ、毎日新聞社に設置)などでも可能です。
寄付金の使い道は?
寄付をしたとき、もしくはこれから寄付するときに気になるのが、寄付金の使い道です。
ユニセフでは募金のためのCMやDMといった取り組みを行っていますが、「寄付したお金が、寄付ではなく広告・販促に使われているのでは?」と疑問を感じたことがある人もいるのではないでしょうか。
ユニセフの詳しい収入・支出の内訳は、公式サイトの『2024年度 日本ユニセフ協会 収支報告概要』で詳しく確認できます。
2024年、当協会は、251億6,200万円をユニセフ本部に拠出しました。これは、経常費用計294億1,007万4,666円の85.6%(みなさまからお寄せいただいた募金292億9,585万2,400円の85.9%*)にあたります。経常費用計の14.4%は、ユニセフ本部との協力協定に基づき、ユニセフ支援の輪を広げるための、国内での募金活動(領収書/寄付控除申請書類の印刷・発送費や振込/決済に係る費用などを含む)、広報・アドボカシー活動、国際協力に携わる人材の育成活動などに充てさせていただきました。そのうち、事務運営費および人件費は2.1%です。
出典:『2024年度 日本ユニセフ協会 収支報告概要』(日本ユニセフ協会)
これを見ると、寄付金の85%以上がユニセフ本部に拠出されていることがわかります。
そもそもユニセフでは、国内事業(募金活動、広報・アドボカシー活動など)には最大25%の上限が設けられていて、その範囲内で活動が行われています。
寄付促進のための広告・販促活動には一定の費用がかかるものの、必要なだけに留められており、「募金よりも、かかった広告費や人件費の方が多い」という事態になることはありません。
ユニセフに寄付した私たちの寄付金は、きちんと世界の子どもたちへ届いています。
なぜ?ユニセフが古着の寄付を受け付けていない理由

ユニセフが衣類や文房具といった物資そのものの寄付を受け付けていない理由は、主に以下の2つです。
- 保管・輸送のコストが高くなってしまうため
- 現地のニーズに合った物資の入手が難しいため
それぞれの理由について詳しく見てみましょう。
保管・輸送のコストが高くなってしまうため
まずは、コストの問題です。古着や毛布、タオル、文房具といった「物資」は、お金に比べて取り扱いに手間がかかります。
保管や輸送にかかる多額のコストを考えて、物資での寄付は受け付けていません。
現地のニーズに合った物資の入手が難しいため
コスト面だけでなく、現地のニーズも大きな理由の一つです。
現地で求められているものを、必要な分だけ調達することは簡単ではありません。せっかく寄付したとしても、ニーズに合っていなければ、有効活用できず無駄になってしまう可能性があります。
物資の寄付よりも、現地調達を行う方が、現地の人々や子どもたちやその時の状況に合った物資を入手できます。
また、「現地調達を行った方が、その国の経済発展につながる」というのが、ユニセフの考えです。
古着をユニセフへの寄付に役立てる方法

古着そのものを直接ユニセフに寄付することはできませんが、工夫すれば寄付につなげられます。
ここからは、古着を活用してユニセフへの寄付につなげる方法を見ていきましょう。
フリーマーケットで古着を販売し、売上を寄付する
フリーマーケットや地域・学校のバザーに参加して古着を販売し、その売上金を寄付している人もいます。
フリーマーケットやバザーは誰でも気軽に参加しやすく、服を買ってくれた人の顔も見えるので「大切な服を捨てるのは惜しい」「まだきれいだから、誰かに着て役立ててほしい」という人にもおすすめの方法です。
フリマアプリ・オークションで古着を販売し、売上を寄付する
フリーマーケットやバザーへの参加を手間に感じる人は、フリマアプリやオークションを利用して古着を販売するのもいいかもしれません。
商品紹介や写真撮影、発送などが必要になりますが、自宅から簡単に古着の販売ができます。
ユニセフではさまざまな方法での募金を受け付けており、フリマアプリ「メルカリ」を通した寄付も可能です。
メルカリでは、出品物が売れた売上金は「メルペイ」にチャージされます。この「メルペイ」残高を、ユニセフへ寄付できます。
スマホアプリから簡単に手続きするだけなので、手間もかかりません。
古着買取サービスで買い取ってもらい、買取金額を寄付する
古着の買取を行っているサービス・業者は数多くあるため、買い取ってもらい、その買取金額を寄付するのも一つの方法です。
フリーマーケットやバザーに参加したり、フリマアプリで商品を出品したりする手間がなく、手軽な方法といえます。
店頭買取のほかにも、宅配買取サービス・出張買取サービスを行っているところもあり、自分の都合に合わせて利用しやすい点がメリットです。
業者によって「ブランド品のみ」「ノンブランド(ノーブランド)も買取可能」など買取対象が異なることがあるため、前もってチェックしておきましょう。
着物を売る場合は、「着物買取専門業者」を選ぶと、高く売れる可能性があります。
ユニセフ以外の古着寄付方法

古着をそのまま寄付したい人は、ユニセフ以外の方法での寄付を検討しましょう。
さまざまな企業が古着寄付の取り組みを行っているため、自分に合っているところに寄付をしてみてはいかがでしょうか。
各自治体の回収ボックス・リサイクルステーション
各自治体で、古着や古布の回収を行っているところも多いです。
設置された回収ボックスに古着を置いたり、リサイクルステーションや回収拠点に持ち込んだりすることで、お金をかけずに寄付できます。
古着・古布の活用方法は自治体によって異なりますが、集めた古着の売却金によるパラスポーツ(障がい者スポーツ)支援、衣類としてリユース、手芸の材料や工業用の拭取布へのリサイクルなどがあります。
東京都大田区のように、回収した古着をアジア・アフリカ諸国に輸出し、衣類としてリユース・リサイクルを行っているところもあります。
自治体の取り組みということで安心感があり、誰でも気軽に利用しやすいことがメリットです。
ファストファッションブランドの衣類回収ボックス
ファストファッションブランドの店舗に設置してある衣類回収ボックスを利用するのも、手軽にできる寄付方法です。
近年は、いらなくなった服の回収を行うブランドも増えてきました。中でも大手ファストファッションブランドは、衣類回収サービスを実施しているところが多くあります。
例えば、ユニクロ、GU(ジーユー)、H&M(エイチアンドエム)、ZARA(ザラ)、無印良品、洋服の青山などです。
ブランドによって回収対象の衣類が異なり、自社や関連ブランドの服のみ回収しているところもあれば、どんなブランドでも回収しているところなどさまざまです。持ち込む際は前もってチェックしておきましょう。
店頭に持ち込む手間はかかるものの、特に手続きも必要なく、無料で回収してもらえるので手軽です。
処分したい古着の量が多くない場合や、買い物のついでに利用してみてもいいかもしれません。
信頼できる団体・企業への寄付
信頼できる団体や企業への寄付も、選択肢の一つです。代表的な団体・企業を紹介します。
日本ファイバーリサイクル連帯協議会(JFSA)
日本ファイバーリサイクル連帯協議会(JFSA)は、古着を国内やパキスタンでリユース販売し、その利益をパキスタンのスラムに暮らす子どもたちの自立のために活かしている特定非営利活動法人(NPO法人)です。
利益は、パキスタンのスラムにある『アル・カイールアカデミー』という学校の運営費として使われます。
衣類・毛布・バッグなどの回収を行っており、宅配便での送付受付期間は年3回(2月~・6月~・10月~)。
JFSA千葉センターや東葛センターへの直接持ち込みも行っています。
日本救援衣料センター(JRCC)
日本救援衣料センター(JRCC)は、貧困や自然災害、紛争で衣料を必要とする人々に「愛の救援衣料」を配布することを目的で設立された特定非営利活動法人(NPO法人)です。
ホームページでは、「寄贈先国名」「数量」「依頼主・関連団体」など、寄贈状況が随時公開されています。
なお、衣料品10㎏までにつき、1500円を目安として「海外輸送費」がかかり、衣類の発送後に届く「払込取扱票」で支払いを済ませる必要があります。(寄付金控除の対象)
古着でワクチン
「古着でワクチン」は、専用の回収キットに古着を入れて送るだけで、簡単に寄付ができるサービスです。
古着は千葉の選別センターに集められ、種類分けをして輸出。カンボジアで販売や適した国への再輸出が行われます。
選別センターや現地では、就労の難しいフィリピン女性や障がいのある方、ストリートチルドレンだった若者が働いており、雇用創出にもつながっています。
さらに「古着でワクチン」は古着の寄付だけでなく、ワクチン寄付ができることも特徴です。
回収キット(中)1つ購入ごとに、「認定NPO法人 世界の子どもにワクチンを 日本委員会」や「ラオス政府保健省」を通じて、20人分のワクチンが開発途上国の子どもたちに届けられます。
「古着でワクチン」は日本政府からも表彰を受けており、信頼できるサービスのため安心して利用できるのも嬉しいポイント。
自宅から発送できるため、大量の古着を一度に寄付したい人にもおすすめです。
古着を寄付するときの注意点

古着を寄付するときには、いくつかの注意点があります。
寄付できないもの
古着寄付では「受け入れ可能品目」が指定されていることがほとんどです。どんなものでも受け入れているわけではないため、注意しましょう。
特に以下のものは、受け入れていないところが多いです。
- シミや汚れがひどいもの
- 大きな破れ・裂けのあるもの
- 下着類(新品なら可、もしくは特定の品目のみ中古でも可としているところもある)
- 制服、水着、体操着
- 洗濯やクリーニングがされていないもの
団体によって受け入れ可能品目は異なるため、必ず前もって確認しておきましょう。
事前確認が必要なケースもある
古着回収の細かな条件や、回収方法、回収時期などは団体によって大きく異なります。
事前確認せずに送付してしまうと、寄付どころか迷惑をかけてしまったり、トラブルになったりする可能性があるため注意が必要です。
団体によっては事前確認や事前連絡が必要なケースもあるため、ホームページをよく確認し、必要に応じて事前連絡を入れるようにしましょう。
信頼できる取り組み・団体かチェックする
古着の寄付や募金などをするときに気になるのが、寄付先の信頼性です。
寄付を行っている団体・企業は数多く存在しますが、信頼できるかどうかを前もってチェックしておくと安心です。
例えば、「寄付してはいけない」と言われる団体には以下のような特徴があります。
- 財務情報を公開していない
- 活動内容やお金・物品の使い道を公開していない
- 定期的な活動報告が行われていない
- スタッフの顔が公開されていない
- 行政や企業との関わりが一切ない
- 規模が小さい・活動期間が短い
いらなくなった古着は、捨てずに寄付して社会貢献に!
ユニセフでは古着を含め、物資による寄付は受け付けていません。
古着をユニセフへの寄付につなげたい場合は、自分に合った方法で古着を売却し、売上金を寄付する方法があります。
古着をそのまま寄付したい場合は、ユニセフ以外の選択肢を選ぶのもいいでしょう。
信頼できる団体やサービスは数多くあるため、ぜひ手元の古着を寄付して、社会貢献につなげてみてはいかがでしょうか。
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